story
「実はこの村には、15歳になると成人の儀礼を行うというしきたりがあってね」
そんな父親の一言は、レッジにはまったくの初耳だった。
自分はとうに15を過ぎたが、そんなことはやっていない。
まあ、父親が忘れていたというのならそうだろう。
ともあれ、今回の生け贄は居候のエミリアだ。
彼女には可哀想だが、一人で頑張って山間の祠まで行ってきてもらおう――。
だが、やはり父親。
そんな、めんどくさがりな彼の思考を見抜いてか、やっていないレッジの分も一緒にやってしまう腹づもりか。
こうしてレッジとエミリアは、山間の祠まで二人つれだって、小さな冒険に出ることになったのである。
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